まかない係雑記
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Nagoya hakugaku-hompo
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Sat, Jun 19 2004
石井さん、うさぎさんは武芸者であ
 中村うさぎさんが第5弾車座トークバトルに特別ゲストとして来てくださった。いや〜お美しい。ほとんどスッピンのお肌がピカピカとまぶしかった。ご本人は「整形してるから」とおっしゃいますが、姿形が整っていることよりも、意志の強さが全身から立ち上っていることに、ある意味、武芸者のようなスキのない構えの美を感じた。

 さて、うさぎさんが今回お話しされた中で、印象深いのは、「自分を簡単に好きにならなくてもいいのだ」ということと「他者と簡単に共感できるはずがないのだ」ということ。(ちょっと使っている言葉が違うかもしれないが)。

 「自分を好きになる」「他者との共感」は、いずれも危なっかしい言葉だ。この2つからは、狭い仲間内だけで共感し、その共感をテコに自分を好きになるという世界も導き出せるから。例えば、辛い状況に置かれた者にとっては、そのような強く閉じた仲間をつくることが生きるために必要だろう。しかし、仲間との共感を重要視する世界観は、容赦のない異物排除に通じている。うさぎさんは、議論がそちらの方向に行ってしまうことを言葉を選んで、ていねいに避けようとしていた。何て頭のいい、カッコイイ人なんだろうと思った。

 世代により、仕事により、年収により、学歴により、趣味により、人の価値観はバラバラに分かれている。価値観もスタイルもバラバラで、およそ共感などできない人たちと、どう折り合っていくのかは、とても今日的で切実な課題である。むしろ「共感できない」部分を尊重するあり方を考えないといけないのだから。

 議論はともすると「良い子」の方向に行った方が結論として落ち着くし、何だか誉められそうである。「自分を好きになりましょう」「コンプレックスは解消しましょう」「問題を直視しましょう」等々。でも、なごや博学本舗の「博学」の「学」の由来でもあり、敬愛する宮崎学氏が最も嫌う、小学校のホームルームで「廊下を走らないようにしましょう」とまとめるような議論には、博学本舗の名に賭けてできないのである。

 本舗スタッフも、参加者も、石井政之さんのツッコミに対してどうか簡単に反省しないでほしい。石井さんは今回、自分のデリケートな部分を情緒的に語ることを避け、ユニークフェイスの問題を語りきった。それは見事という他ない。少しもぶれない姿勢は、やはり百戦錬磨の武芸者のよう。問題の存在すら知らず、鈍感に過ごしている者たちには少し傷つけるくらいに言わないと、響かないことを思い知っているのであろう。

 しかし、その先の「ユニークフェイス(顔)を直視せよ」と迫る石井さんの姿勢は有効だと思えない。私は石井さんと3回お会いしているが、別にアザを直視などしていない。かといって見ないようにしているわけでもない。いざ対面して言葉を交わせば、「石井さん」という全存在が現れてくる。アザの存在は確かに大きいのかもしれないが、やっぱり石井さんの一部であって全部ではないと感じられるから。ししかし、アザ(顔)を直視せよと前面に押し出すと、かえってアザ(顔)以外の部分が見えなくなるのである。この辺は、ユニークフェイスの世間における認知を考えている石井さんとしても悩ましいところではないだろうか。

 一方、顔にアザがあるわけでもなく、むしろ中の上以上の容姿を持っていたうさぎさんは、どういうわけだか過剰なまでの自意識を抱えている。他人から贅沢だと言われようが、特大の暴れ馬のような自意識を抱えているから仕方ないのである。暴れ馬にまたがりロデオ状態で落っこちそうになりながら、その一部始終を冷徹な目で見て言葉に表していく。そこが見事だし、そんな芸当は凡人にはできない。

 うさぎさんが重要視しているのは、「自分を好きになる」ことよりも、「省みて悔いのない人生を歩む」ことと受け止めた。今の自分に居心地が悪いと感じるのなら、何かによってへこまされている不幸を呪ってなどいないで、思うとおりに動き出せ、それで堕ちても構わないではないかと。本人はそんなことを発言したわけではない。でも、うさぎさんはそのように生き、彼女の背中はそう語っているのである。ただし、凡人は真似しないようにとも言ってるので、そこのところを間違えないように。凡人の我らは、暴れ馬ならぬ竹馬を乗りこなして歩もう。「生きよ堕ちよ」ではなく「生きよコケよ」程度で。

Posted by HH at 01:01 KDT
Updated: Wed, Aug 4 2004 22:55 KDT
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