まかない係雑記
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Nagoya hakugaku-hompo
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Tue, May 11 2004
小さな事ほど悲しい:美醜論によせ
『トリビアの泉』の司会の高橋克実がついにカツラを脱いだ。私は5月5日の放送で見て驚いたのだが、実は既にその前の週に脱いでいたようだ。もともと、本人もカミングアウトしており、雀が上手に編み上げた巣のような髪型がカツラであることは有名。ゴールデンウィークに合わせ?、満を持して披露したわけである。ツルっぱげなのかと思いきや、おでこから後退し、頭頂にかけて薄い程度であった。

 意外なことに、ナチュラルな髪になってみると、割と男前なのだと気づく。その日は、トリビアがひとつ終わるごとに入れていた一言ボケがなく、無口のまま進んだ。そして『トリビアの種』のコーナーで、唐突に「過ぎたるは及ばざるが如しっ!」と叫んだのだが、それって己のアタマのことですね。恥ずかしさを振り払うような感じに、何かこうドキッと惹かれるものがあった。結構いい男なのである。

 あれだけコミカルな持ち味の俳優さんで、しかも、カミングアウトしているのに、やはり恥ずかしく緊張するものなのだなあ。ハゲってどうしても笑いの対象になりがちだけど、本人にとっては極めてデリケートなことなのだと、改めて思った。

 いつも仕事をお願いしているデザイン事務所の社長(40代後半)は、矢沢永吉似のかっこいいアニキだが、頭髪が気になるお年頃。一族にはハゲが多く、子どもの頃から将来を案じていたとか。ハゲの話題になり、「屋久島の縄文杉とか、富士山とか、ものすごく素晴らしい自然に接したとしても、もし自分がハゲなら、それが気になって、美しいとか、自分も自然の一部だとか、そんな風に素直に感動できないだろう。その前に俺のハゲを何とかしてくれと言いたくなる!」と。

 ヅラをつけたアニキのある友人は、ゴルフに一緒に行き、風呂に一緒に入ってもヅラを決して脱がないらしい。もちろん髪は洗わず、おでこに汗をダラダラとしたたらせながら、鬢のところだけを小刻みに洗うのだそうだ。アニキは、仲のいい友人であっても一生気づかないふりをして墓まで持っていくんだという。

 デブは努力でいくらか改善できる。でも、ハゲは持って生まれた体質で決まる。後退はあっても前進はないのだ。新技術のカツラを使っても、心から身をゆだねることはできないだろう。いつ取れたり、バレたりするかわからないから。

 アニキはさらに「ハゲって、人から見れば小さな事かもしれないけど、人って、大きな事よりも小さな事の方が悲しいのよ。たとえ仕事で大成功して、いい外車に乗っていようが、ハゲのくせにって言われたらもうそれで台無し。こう言うと何だけど、イラク戦争のような大きな事よりも、小さな事の方が実際は悲しいのよ」と言う。

 自分自身のことや、身の回りの小さな範囲で起こる小さな事こそ悲しい。その通りだ。アニキは強面だが、心優しく相手を包むような一面があり、話しているとしばしばハッとする。イラク戦争が悲しくないわけじゃないけど、まずは自分の生活における悲しさが実感されていないと、リアルな健全な創造力も働かないような気がする。

 イラクの人質騒ぎなどでも、ネットを中心にヒステリックな意見が飛び交ったという。ネットはものすごく便利なので、自分がハゲやら、ブスやらを気にするケチな存在であることを、つい忘れてヒステリックな意見に同調してしまったりする。ていうか、忘れるためにのめり込んでいる面もあるかもしれない。それも悲しい。電脳生活は必須だが、自分はブスだという小さな事を見捨てないで、ちゃんと暮らしたいと思うのである。

Posted by HH at 01:01 KDT
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